この日のセッションで、クライアントのRさんが最初に口にしたのは、「とにかく余裕がない」という切実な言葉でした。
経済的な不安。
精神的な重圧。
夫の機嫌に振り回される、
自分の意思で銀行口座ひとつ開けない生活。
どれをとっても、Rさんの毎日は“自分の人生”ではなく、“誰かの都合”に乗っかってただ流されていくような感覚に満ちていました。
「好きなものを買う余裕がほしい。時間に追われるんじゃなくて、ゆとりを感じて生きたい。」
そう願っていながらも、動き出そうとすると怖くなる。
過去に義母や夫から否定された経験が、まるで“鎧”のようにRさんの体や心をがんじがらめにしていました。
動くと何か言われる!
だったら動かない方が安全!
ーーーそんなふうにして、Rさんは少しずつ“生きること”をやめていったのです。
でも、セッションを通してRさんの口から出た言葉は、まったく違うものでした。
「痛いのも、怖いのも、全部体験したい。それが私なんだ。私、一億円出しても買えない“経験”がしたかったんだ!」
ずっと閉じ込めていた“生きることへの欲求”が、セッションの中でRさんの中から爆発しました。
Rさんのイメージは、いつしかサーフィンへと変わっていました。
転んでも、飲まれても、また立ち上がればいい。
波が来てるなら、乗ってみようかな、と。
かつて、体を壊すほどに心を追い詰めていたRさん。
けれど今では、その体のSOSさえも、「私を守ろうとしてくれていたんだ」と受け止められるようになっていました。
Rさんは、こう語ります。
「セッションを受ける前の2時間前の自分に、“ちゃんと悩んでよかったね”って言ってあげたい。悩んだからこそ、ここに来れたんだって。」
「SAIKOさんのセッションって、頭じゃなくて心のどこか深い場所から言葉が出てくるんですよね。ネガティブもポジティブもごちゃ混ぜにして、角を取って、まろやかにしてくれる。」
「これからは、ちゃんと怖がっていいし、ちゃんと自分を扱っていける気がする。」
「めちゃくちゃエネルギーが湧いてきた。サーフィンみたいに、波を楽しめる気がする。」
セッションの終わりには、こんな穏やかな言葉も彼女の口からこぼれました。
「自分と繋がったら、過去の自分も“私、ちゃんと生きてたじゃん”って思える。」
人生において、「余裕」とは、時間やお金のことではなく、「自分をまるごと受け止められる感覚」なのかもしれません。
彼女は今、自分という人生のサーフボードの上で、ようやく波に乗り始めています。
その表情は、セッションの最初にあった“冷たさ”とは真逆の、生き生きしたエネルギーに満ちていました。
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